フローリングが汚れる大きな原因の一つは、足裏の脂汚れです。
しばらく放置してしまうと、乾拭きでは取れなかったり、水拭きでもゴシゴシこすらないと取れなかったりしますよね。
脂汚れは、時間が経過してしまうとフローリングに固着してしまうという特徴があるからなんです。
そんな脂汚れを掃除するのに、とても重宝するのがスチームクリーナーではないでしょうか。
スチームクリーナーと言えばドイツのメーカー、ケルヒャーが有名ですよね。
2018年5月に発売されたばかりの最新、超軽量のスチームクリーナー。
ボイラー式でしつこい油汚れも100℃の強力スチームで簡単に落とせます。
アタッチメントも豊富で、あらゆる場所のクリーニングに対応しています。
とても便利なスチームクリーナーですが、フローリングに使用する際には特に注意が必要で、場合によってはフローリングの劣化を早めてしまうことにもなりかねません。
ということで、「シートフローリングにスチームクリーナーは厳禁?その理由とは」について詳しく解説したいと思います。
シートフローリングにスチームを使ってはいけない理由
固着した脂汚れに対して、スチームクリーナーはとても有効です。
熱で脂を溶かし、浮きあがらせた後に水分で洗い流すという二つの効果があるからです。
ではなぜ、シートフローリングにスチームクリーナーを使ってはいけないのでしょうか?
それは
・シートフローリングが熱と水分に弱い
という理由があるからなんですね。
【なぜ熱と水分に弱いのか?】
シートフローリングの表面には、オレフィンシートという塩化ビニール素材がMDF材という木材に接着(糊付け)されています。
熱はこの接着剤の劣化を早め、オレフィンシートとMDF材の接着に影響をおよぼしてしまう可能性があります。
耐熱性のある接着剤を除いては、熱に弱いという特徴を持っていて、すぐに劣化するということはありませんが、繰り返し熱を加えることによって糊が劣化し、接着力が弱まってしまうということが考えられます。
また、オレフィンシートはとても薄い素材で、厚みは1mmもありません。
接着の弱まったオレフィンシートに、高温のスチームを当てれば簡単にふやけてしまうので、注意が必要ということになります。
よくフローリングは水拭きをするものではない、というのを聞いたことがあるんじゃないでしょうか。
というのも、フローリングはそのほとんどが木材で出来ていからなんですね。
◎シートフローリングのつくりと特徴!メリット、デメリットとは
木材で出来ているということは、水分を吸いやすいという特徴を持っているということになります。
水分を吸うことで繰り返される変形(膨張・伸縮)によって、フローリングの劣化、つまり反りやヒビ割れなが発生してしまう可能性が高まってしまうという訳です。
シートフローリングの表面は、オレフィンシート貼られていいますので、スチームクリーナーを使ったからと言って、すぐに水分がしみ込んでしまうわけではありません。
ですが、何度も繰り返し使用することよって徐々に変形、劣化が進み、気づいたときにはフローリングの床鳴りやヒビ割れが起きてしまっている場合も多いんです。
掃除にはとても便利なスチームクリーナーですが、シートフローリングが苦手とする「熱」と「水分」を使用するので、相性が良いとは言えません。
また、注意しなければいけないのは数回程度の使用では、影響がすぐには現れない点です。
影響が現れないので「大丈夫」と何度も使用してしまった結果、劣化がかなり進んだ状況で気がつくということが多い点も気に留めておいてください。
シートフローリングを製造しているフローリングメーカーも、やはり熱と水分の影響が考えられることから、スチームクリーナーは使用しないで下さいという見解です。
シートが貼られていて、ノンワックスなんだからシートフローリングなら大丈夫でしょ!と安易に考えて、日常的にスチームクリーナーの使用には注意が必要ですね。
フローリングのつくりで考えれば、一般的な複合フローリングよりも、シートフローリングの方が影響を受けやすいと思っています。
シートフローリングにスチームを使った結果
ノンワックスの場合
シートフローリングはノンワックスフローリングと呼ばれています。
ワックス掛けが必要のないフローリングなので、そのまま生活をされている人も多いのではないでしょうか。
ノンワックスで生活するのは特に問題ありませんが、やはり気になってしまうのは汚れです。
シートフローリングと言えども、汚れやキズはどうしても付いていってしまうんですよね。
また、ノンワックスでフローリングに光沢がないことからフローリングの汚れが目立ちます。
そこで便利なスチームクリーナーを使ってみよう!と使って見た結果、
Q&A シートフローリングを水拭きしたら、表面がふやけてきた?
のような状況になってしまう可能性もあります。
必ずというわけではありませんが、さきほども記載したとおり表面のオレフィンシートは1mmにも満たない極薄い塩化ビニールが使用されているという点は注意しておきたいところですね。
シートフローリング+市販ワックスの場合
最近ではシートフローリングに対応した市販のワックスも多く発売されています。
やはりシートフローリングと言えどもキズや汚れが目立つ場合もあり、シートフローリングにもワックスを塗りたいというニーズが多いというのもあるんでしょう。
シートフローリングに市販のワックスを塗って、スチームクリーナーを使用する際にはさらに注意が必要です。
というのも、市販のワックスは水性のものがほとんどで、数ヶ月に一度の塗り直しが前提になっている商品がほとんどです。
そのためフローリングへの密着が弱く、スチームクリーナーの熱で白濁や剥離を起こしてしまう可能性が、かなり高くなります。
フローリングにスチームクリーナーを使っての不具合で一番多いのが、ワックスの白濁、剥離ですので注意してください。
シートフローリング+フロアコーティングの場合
フロアコーティングを施工している場合には、水性と油性で注意点が異なります。
◎フロアコーティングは水性と油性どっちが良い!?違いについて!
【水性のフロアコーティングの場合】
水性のフロアコーティングは市販のワックスに近い商品です。
耐久性と耐久年数はかなり高いですが、やはり塗り替えを前提にしている商品なんですね。
ですので、スチームクリーナーを使用した場合には市販のワックスと同じ様に白濁や剥離を起こしてしまう可能性が高くなります。
当然、市販のワックスよりも耐久性は高いのですが、それでもやはり100℃の高温スチームでは不具合が起きてしまう場合が多いようです。
【油性のフロアコーティングの場合】
油性のフロアコーティングはフローリングへの密着度がかなり高いので、白濁や剥離の可能性も低くなります。
水分にも強く、水拭きOKというフロアコーティングがほとんどなので市販のワックスや水性のフロアコーティングと比較すると、スチームクリーナーの影響は受けにくいと言えます。
ですが、フロアコーティングの保証の項目に入っていない限りは、絶対とは言い切れませんので注意は必要です。
もし、白濁や剥離が起きてしまった場合には、再施工の費用は一番高くついてしまいます。
スチームの量を調整するとか、目立たないところで試してみるなどの対策はした方がよいでしょう。
まとめ
スチームクリーナーを使うと、汚れがゴリゴリ落ちて見違えるほどキレイになるので、いろいろな場所に試してみたくなってしまうんですね。
実際、フローリングに使用してしまって、変色してしまった、ワックスやフロアコーティングが白濁、剥離してしまったという経験のある人も多いと思います。
フロアコーティングを施工した家主さんからも、使って大丈夫なのか?という問い合わせも多いんですね。
ですが、フローリングは木材で出来ている、表面材は接着されている、という「フローリングのつくり」を考慮すると、スチームクリーナーの使い方には注意が必要と思えるのではないでしょか。