最近の新築マンションは、シートフローリングが本当に多いですね。
伺うマンションのほとんどが、シートフローリングです。
コスト面やプリント技術の発達で本物と見分けがつかないぐらいの質感を出せるようになったことから、フローリングメーカーもシートフローリングにシフトしています。
差別化を図るために、オリジナルのシートフローリング発注している販売会社も増えています。
シートフローリングはノンワックスフローリングとも呼ばれ、ワックスを塗らなくても耐久性が保てるフローリングとして、家の購入を検討している人たちからも人気なんですよね。
ノンワックス、メンテナンスフリーと言われると聞こえは良いのですが、実はシートフローリングも日常生活で特に注意しなければいけない点があるので、それについてお話したいと思います。
水拭きしたら、表面がふやけてきた?
これは実際にあった話です。
シートフローリングの部屋に住まわれてる家主さんのところに打ち合わせで訪問した際に、見てほしい言われたのがシートフローリングでした。
フロアコーティングもワックスも塗っていません。
最初は特に変化に気づかなかったのですが、よく見てみるとフローリングとフローリングの継ぎ目が、少しプクッとふやけている様な状態になっているのに気がついたんですね。
「これはどうしたんですか?」と聞いてみると、多めの水をこぼしてしまい拭き取ってしばらくしたら、フローリングがふやけてた様になってしまったということでした。
シートフローリングはオレフィンシートという極薄の塩ビシート素材を、MDFに接着してあるというつくりになっています。
MDFとは木材を繊維状にしたものを接着剤を配合して固めたものですが、水分や湿気に弱いという特徴があります。
表面に水をこぼしただけで、MDF素材に水が染み込んでしまうような影響は考えにくと思いました。
ただ実際に継ぎ目部分の表面がプクッとふやけている状態だったので、表面材のオレフィンシートが影響を受けているものとしか考えられませんでした。
フローリングの材料は小口にサネというオスメスを噛み合わせるようなつくりになっています。
フロアコーティングの断面が露出している部分とも言えるんですが、状況から考えるとそのフローリングとフローリングの継ぎ目から、こぼした水が浸透してしまった様に思えました。
ふやけてしまったシートフローリングは、どう対処することも出来ません。
水分が抜けると元にもどるかもしれないという可能性があったので、しばらく様子を見てみてはどうですかとしかお答えできませんでした。
数日経って、状況を聞いてみると、完全には元に戻ってはいけど、プックリした感じは薄くなってきたということでした。
ということはやはり水分の影響で、水分が抜けたことによってプックリふやけたのが元にもどったものと想像がつきました。
シートフローリングは水分の影響を受けやすい
シートフローリングの表面は強化コーティングが施されて、キズが付きにくい、汚れや水が染み込まないという耐久性が売りですが、継ぎ目はどうしてもフローリングの断面が露出していてしまいます。
通常はフローリングを施工する際に、ピッタリ張り合わせれば継ぎ目から水や汚れが入り込むのをある程度は防いでくれますが、それでも完全に隙間がなくなることはありません。
フローリングの施工精度によって、若干隙間が大きめに空いていたとすると、そこから水分が浸透して今回のようなオレフィンシートがふやけてしまうことがあるかもしれないということなんですよね。
また複合フローリングと呼ばれる、フローリングの表面材に木材の単板が貼られたフローリングは、表面材の厚みが0.6mm~1mm程度あるのに対して、シートフローリングの表面材のオレフィンシートは1mm以下の厚みしかありません。
シートフローリングの表面材のオレフィンシートは紙でないのですが、厚みが紙のように薄い分、水分の影響を受けやすい欠点もあるということが言えると思います。
わたしも初めての経験だったので、勉強になりました。
水拭きはシートフローリングの大敵
一般的なフローリング、複合フローリングはワックスやフロアコーティングをすることによってフローリングの表面や継ぎ目を覆ってしまうので、その場合には水拭きの影響もさほど気になりません。
ですが、メンテンスフリーと言われるシートフローリングも、水拭きを多用してしまうと場合によっては今回のように、継ぎ目がプクッとふやけてしまうようなことがあるかもしれないんですよね。
フローリングの表面は製品にする段階で、強化コーティングされているので水分の影響は考えなくても大丈夫ですが、継ぎ目に影響が出るというのは意外な盲点かもしれません。
固く絞った雑巾や、市販のウェットシート程度でしたら、影響が出ることは少ないとは思いますが、水を多量にこぼしてしまうなど、フローリングの継ぎ目に水を含ませてしまうのは注意しなければなりません。